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劇場で観たかったもののロードショー公開時には見逃してしまった映画、沖田修一監督「南極料理人」のDVDをレンタルしました。
この作品は海上 保安官出身の西村淳さんが実際に第38次越冬隊に参加した際の出来事を綴ったエッセイ「面白南極料理人」が原作。南極大陸の沿岸にある「昭和基地」から更に南極大陸の中央部に向かい1000キロ離れた標高3800m、平均気温マイナス57度、ウイルスさえも生存しない世界一過酷な場所「ドームふじ基地」での仲間との暮らしを専属料理人である主人公の眼を通して見た越冬隊の日常を描いた作品。

主演は堺雅人。今作で彼が演ずる劇中の西村さんはいつも笑顔だが決して気が強そうには見えないおだやかな雰囲気の男。実際の西村さんはひげもじゃな豪快なイメージのおじさんらしいが堺雅人のこの物越し柔らかな感じのキャラがこの映画にはとても良く合っている。きたろうや生瀬勝久など他の越冬隊員たちもいい味を出している。

堺雅人以上に実は主役級な存在である日々の料理の数々もとっても良い。別に豪華な料理が出てくる訳でもなく出てきた料理も越冬隊員達にガツガツと食い散らかされてしまうんだけどそんな数多く登場する食事シーンが登場人物たちの「生」をうまく表現している。エンドロールを見るとやっぱりこの作品もフードスタイリストは飯島奈美さんだった。彼女の携わった作品の料理はなぜかどれもとても美味しいそうなんだよなぁ。

南極越冬隊がテーマの物語というとどうしても過酷な自然環境下での生死をかけた闘いなど大げさでドラマチックな作品になりがちだけどこの映画はそれらとは違い時にはユーモアを交え越冬隊員たちの暮らしを淡々と見つめていく。しかしこのドラマチックすぎない淡々としたところに逆にリアリティを感じる。

朝日新聞の女性記者が越冬隊に参加して綴った「こちら南極ただいまマイナス60度」という日記的なエッセイを読んだことがあるけどそれとも通ずるところがあってボク的にはかなりお気に入りな映画でした。

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南極料理人 [DVD]


nrn1
面白南極料理人 (新潮文庫)


nrn3
こちら南極ただいまマイナス60度